「宣伝より体験を」Burberry編③

 

バーバリーと言うと、
やはりブランドの象徴でもあるトレンチコートを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?

2009年11月、バーバリーはそのアイコンとも言える商品を用いたソーシャルイベントをスタートさせました。

その名も「Art of the Trench」

ブランドのオフィシャルサイトでありながら、そこでは誰でも写真を投稿することができます。
条件はひとつ、バーバリーのトレンチコートを着ていること。


出典▶︎Art of the Trench

このソーシャルイベントは瞬く間に世界中に広がりました。
現在では200カ国以上からの投稿があるようです。(日本からの投稿もかなりあるようでした。)

バーバリーが提供した、この自由な空間。
トレンチコートの「正しい着用方法」であるとか「美しい着こなし方」を
レクチャーするような場所ではありません。

みんなが自由気ままに好きな場所で撮った写真を投稿し合っています。
もちろんSNSへのシェアなども自由。
むしろそれ自体が狙いでもあります。

プロのモデルを起用した商品カタログではなく、
身近な存在の人たちが街中で自由におしゃれに着こなしているギャラリー。
訪れたひとは気に入った写真があれば評価をすることもできますし、
気になったトレンチがあればそこから商品ページに瞬時に進むこともできます。

「Art of the Burberry」ではなく
「Art of the Trench」としたことも成功要因となりました。

全商品で同じ試みをしていたら、
他社が手法を真似た時このイベント自体がコモディティ化するおそれがありました。
しかしブランドのDNAとも言えるトレンチに絞ったことで、誰にも真似できない独自のブランディングツールとなったのです。

「大好きなブランドのサイトに自分の写真が掲載されている」
愛好者にとってその喜びは大きなもの。
まさに”ブランドへの愛着”を育み続けていると言えます。

これは「宣伝より体験を②」でもご紹介した「Burberry Acoustic」とも共通しています。

「うちのはいい商品です、まず買ってください!」ではなく

「どうぞ一緒に楽しみましょう」
の先での商品の提案。
直接的なPRではなく、体験価値を通じて顧客との絆を深めていく。
その戦略を導入する手段として「WEB」はまさに最高のツールと言えるでしょう。

体験価値の好例であるバーバリーの展開を三部作でご紹介させていただきました。

KREED.

「顧客より個客を」Expedia編

今や誰でも知っている
オンラインの旅行マッチングサイト「エクスペディア」

黄色に青のあのアイコンが思い浮かぶ人も多いのではないのでしょうか?
旅行予約はいつもこれ、という人もいるかもしれません。

オンラインに特化したサービスだけあり、そのWEBの力を最大限に活用しています。
日本人は旅行の予約にPCを用いるという傾向にあるためその特性に合わせPCインターフェイスに力を入れています。

さらにサイトにアクセスした人の検索情報を蓄積し
そしてそのデータを元にそのユーザーだけに向けた値下げや旅先の提案を行います。
一人ひとりに旅行予約のコンシェルジュがつくイメージです。

しかし、それらを負担に感じさせることはありません。
「個別サービス」を売りにして、あからさまにそれを打ち出すのではなく、
サイトユーザーの行動によって、サイトが自らをカスタマイズするため
自然に好みをわかってくれる「自分専用の旅行サイト」になるのです。
エクスペディアの利用者が増えれば増えるほどその精度は上がっていくとされています。

究極の「パーソナライゼーション」と言えます。
今後AIの普及によりこのようなパーソナライゼーションはどんどんと向上していくはず。

エクスペディアのようなサービスサイトに限らず、
ECやその他の集客サイトでもサイト訪問者を顧客ではなく「個人」としてより深くより細かく捉えることで、そのサイトのゴール(コンバージョン)までの動線設計に新たな可能性を見いだせるかもしれません。
KREED.

「宣伝より体験を」Burberry編②

 
Burberry Acoustic」をご存知でしょうか?

バーバリーが2010年に立ち上げたYoutubeチャンネルです。

CEOのクリストファー・ベイリーによるハイセンスな選曲で、
国内(イギリス)の若手アーティストを紹介してきました。

ここが通常のブランドチャンネルと大きく異なる点であり、
バーバリーのデジタル戦略の成功要因でもあると言われています。

自社ブランドのショーなどで使われる音楽を紹介するのでもなく、
新作コレクションの映像配信を行うことだけを目的としているわけでもありません。
バーバリーのCMが流れたりECに誘導されることもありません。

自国の若手アーティストの支援をすると同時に、
純粋に音楽を愛する人たちのコミュニティに自らが寄り添うことで、
ユーザーとの対等な関係性を築き続けています。

“まずはアコースティック好きの人が楽しんでくれればそれでいいんです。
もしかしたらミュージシャンが巻いているマフラーを気に入ってくれるかもしれないし、
そのアーティストがアルバムを出したら買ってくれるかもしれない。
でもそれは結果であって目的ではありません。
バーバリーを知ってもらうのはその先です。”
(クリストファー・ベイリー)

ここから見えてくるのは
バーバリーにとっての「体験価値」=「コミュニケーション」だということ。

イギリス的な音楽が好きな人なら
バーバリーの世界観も気に入ってくれる可能性が高い。
だからまずは自社商品は横に置いてコミュニティとの接点を持つために存在するのが
音楽チャンネル「Burberry Acoustic」

これがもし、全部の動画のあとにECへの動線があったり、
背景動画がランウェイのコレクションばかりだったら、
フォロワーはどこかで白けてしまい潜在顧客へのリーチは減少していたはず。

バーバリーの商品を買ってくれた先に素敵な体験を用意するのではなく、
素敵な体験の中でバーバリーの世界観を感じ取ってもらう。

デジタルでは決してそれが逆ではいけない。

そべての成功事例がそう物語っているように思えます。

…………….

「宣伝より体験を」Burberry編③ は5/21公開予定
KREED BLOGではデジタル展開の成功事例を随時ご紹介していきます。
 
KREED.

 

「宣伝より体験を」Burberry編①

 
体験価値という概念をメジャーなものにしたのはB・J・パイン著の「経験経済」だと言われています。

その書籍によると、

“顧客の価値観に合わせ企業が商品やサービスを多様化するだけでは不十分であり、
顧客の記憶に残る感動を与え、それを唯一の体験だと感じてもらわなければコモディティ化の波にやられてしまう。”

商品自体ばかりに力を入れているだけでは差別化が難しくなるということ。

しかしこの本の邦訳が刊行されたのは2000年。
まだSNSが普及していなかった当時「体験」を提供するのは簡単なことではありませんでした。

ファッションショーを開くにしても、音楽イベントを開くにしても、たとえそれがどんなに魅力的なものであれすべての顧客に現場に来てもらう必要があったからです。

しかし今状況は全く変わっています。
ファッションショーも音楽イベントもオンラインに解放されていることが少なくありません。
それも360度の視野でリアルタイムに配信されています。

顧客に出向いてもらうことなく、世界中の人に簡単に「体験価値」を提供できるようになりました。

この体験価値導入の最も大きな成功事例の一つでもあるバーバリー。
CEOのクリストファー・ベイリーはある取材でこのように表現しています。

“今後ラグジュアリーブランドは「体験」に最大の価値を置いていくことになります。
これは大きな転換です。

私たちは世界中に顧客やファンのコミュニティを持っています。
以前は私たちを接点を持ちたがっている人が世界中にいるにもかかわらず、それらのコミュニティを一元化することができなかった。
ところがデジタルの出現によりそれらを統合し、バーバリーのビジョンをより明確に打ち出すことができるようになったのです”

次回の記事では、このバーバリーの体験価値創造の発端とも言える音楽プログラム
「Burberry Acoustic」についてご紹介させていただきます。
 
次の記事「Burberryに学ぶ「宣伝より体験を②」
 
KREED.