ネッタポルテ ある通販サイトの伝説

海外で爆発的な人気を誇る通販サイト「ネッタポルテ」

今から16年前、当時女性ファッション誌の編集者だったナタリー・マセネットという一人の女性が立ち上げました。

妊娠し休業中にハマったネットショッピング、しかしファッションに精通しているナタリーにとって当時満足のいくショッピングサイトはなかったようです。

「自分ならもっといいものが作れる」

それが後に「ネット通販の伝説」とまで言われるほどのモンスターサイトとなります。


出典:ネッタポルテ

 

アクセスすると目につくのは、ズラっと並んだ商品群でも
そのブランド一押しの新作商品でもなく、月毎に編集されたまるで雑誌のような入口です。

商品を着ているのはすべてスーパーモデル。
そこに加わるプロの編集者ならではの文章構成。
モード誌と比べても全く引けを取らないクオリティー。
「今月のナタリーはどんなスタイルを見せてくれるのだろう…」

雑誌で売っているものをネット上にも陳列する、ではなく
雑誌そのものをネット上に表現してしまう。
まだ電子書籍も進んでいなかったこの時代、この斬新な手法はファッションに敏感な人たちの心を鷲掴みにしました。

 

合わせて当時から話題となっていたのがその「顧客満足度」

ハイファッションブランド、つまり決して安くはない商品を信用して買ってもらうために
ナタリーが力を入れたのが顧客の要望に個別に応える「相談サービス」でした。

「誰にでも女王様のように対応する」がポリシー。

プレゼントの相談や、パーティーに着ていく服の相談まで。
今でこそ主流となってきたチャット相談サービスをなんと16年前から取り入れていました。

ネットショップで高級品を取り扱った先駆者であり、
今流行りのオウンドメディアの先駆者でもあると言えます。

昨年2015年の企業価値は20億ユーロ(約2600億円)。
アマゾンからも買収を持ちかけられるほどに。

「ネット通販の伝説」ネッタポルテ。
この一つの伝説から多くのことを学び取れそうです。

KREED.

 

「ファネルからジャーニーへ」ポルシェ編

ブランドとしてあまり積極的にマス広告を行って来なかったポルシェが、最近広告活動に力を入れているようです。

もともとはブランド認知から購買までをシンプルな「パーチェスファネル*1」で設計していましたが、
現在は「カスタマージャーニー」をマーケティングに取り入れていると言われています。

特筆すべきはそのカスタマージャーニーのスタイルが独特であること。

そのスタイルは今「サークル型のカスタマージャーニー」とされ注目を浴びています。
いったいどのようなものなのでしょうか?

・マス広告にて興味を持った消費者にメルマガ配信
・ニーズを引き出した顧客にはよりハイクラスな資料キットを送付

ここだけを見ると既存のパーチェスファネルのままのように見えるかもしれません。
しかし、ポルシェがシフトしたのは購入前の行動だけではありません。

レースサーキットを走れるオーナー向けのイベントなどを積極的に開催し、
これまで以上に「購入後」の顧客とのリレーションシップにも注力し始めています。
現オーナーの満足度を高めることは、その再購入につながることはもちろん
新規顧客との新たな接点構築にも大きな効力を発揮します。

一人の顧客のジャーニーを次なるジャーニーにサイクルさせるだけでなく
新規顧客をも巻き込むことで、そこに新たな購入サイクルを生み出す。

「サークル型のカスタマージャーニー」などという名称がつけられ注目を浴びているのは、このスキームが当たり前のようでいて実は構築するのが難しいことだからではないでしょうか。

ポルシェの成功戦略を、WEB戦略の視点から見た場合
単にファネルからジャーニーに転換することが大切なのではなく
いかに独自の「サークル(サイクル)」を生み出せるかが
大きなポイントになってくる気がします。

「売る」▶︎「売れ続ける」

購入というゴールに向かって走ることはもちろん
1周目の時点で2周目3周目のジャーニーを意識する。

リピーターというあたりまえの言葉を改めて深く見つめ直してみることが
WEB上のカスタマージャーニーにとっても大きなヒントとなりそうです。

KREED.

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*1「パーチェスファネル」とは

漏斗(ファネル)の形、いわゆる逆ピラミッドのイラストで表現される購買までのプロセス。
マーケティング手法の一つでもあり下記5層からなるとされています。

Awareness:認知

Opinion:好意

Consideration:(購入)検討

Preference:(購入意思が)優勢

Purchase:購入

「顧客より個客を」Expedia編

今や誰でも知っている
オンラインの旅行マッチングサイト「エクスペディア」

黄色に青のあのアイコンが思い浮かぶ人も多いのではないのでしょうか?
旅行予約はいつもこれ、という人もいるかもしれません。

オンラインに特化したサービスだけあり、そのWEBの力を最大限に活用しています。
日本人は旅行の予約にPCを用いるという傾向にあるためその特性に合わせPCインターフェイスに力を入れています。

さらにサイトにアクセスした人の検索情報を蓄積し
そしてそのデータを元にそのユーザーだけに向けた値下げや旅先の提案を行います。
一人ひとりに旅行予約のコンシェルジュがつくイメージです。

しかし、それらを負担に感じさせることはありません。
「個別サービス」を売りにして、あからさまにそれを打ち出すのではなく、
サイトユーザーの行動によって、サイトが自らをカスタマイズするため
自然に好みをわかってくれる「自分専用の旅行サイト」になるのです。
エクスペディアの利用者が増えれば増えるほどその精度は上がっていくとされています。

究極の「パーソナライゼーション」と言えます。
今後AIの普及によりこのようなパーソナライゼーションはどんどんと向上していくはず。

エクスペディアのようなサービスサイトに限らず、
ECやその他の集客サイトでもサイト訪問者を顧客ではなく「個人」としてより深くより細かく捉えることで、そのサイトのゴール(コンバージョン)までの動線設計に新たな可能性を見いだせるかもしれません。
KREED.

Appleでは誰も値引き交渉しない①

「ラグジュアリーブランド」と聞いて頭にどんなロゴが浮かび上がりますか?
それらのブランドが他のブランドと一線を画している理由はどこにあるのでしょうか?

もちろんそこには幾つもの要因がありますが、
KREEDではその中の最大の理由を下記のように考えます。

自らの「価値観」を打ち出しているか否か。

そしてこの理由はWEB上でのブランディング戦略にとって大きなヒントとなります。

今回は「Appleでは誰も値引き交渉しない」というタイトルのもと5連載で
KREEDの考えるブランディングへのアイディアを綴っていきたいと思います。

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人は常に自分の価値観に基づいて買い物をします。
値段や機能、見栄えや使った時の(着た時の)イメージ…

その価値観の中だけでビジネスを展開しようとすると、あなたの商品やサービスは途端にコモディティ化してしまいます。
もちろん需要を把握することは大切です。
しかし、それだけでは永続的な差別化は望めません。

消費者が価値観にわがままなのなら、
ブランド側も自らの価値観を打ち出していくべきです。
自分たちのコンセプトや世界観を、その商品やサービス、そして価格にも存分に反映させます。

「このパソコンもう少し安くならない?」
家電量販店では当たり前の光景。

しかしAppleストアで
「このMacbookもう少し安くならない?」
は起こりえません。

ラグジュアリーブランドは決して「安売り」を行いません。

なぜでしょうか?

Apple側が堂々と打ち出した価値観を消費者側が認めているからです。
Appleストアは値引きをするような場所ではない、と心の奥底でその価値観を認めているからです。

値下げしなくても売れるブランド力、
値引き交渉をすることが恥ずかしくなってしまうほどのブランド力。

ではAppleはそれをそのように作り上げたのでしょうか?
そしてそれを私たちのWEB戦略にどう生かせるのでしょうか?

次回はブランドに存在するストーリーに焦点を当て掘り下げていきたいと思います。

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KREED.
 

頭に残るものは…?

 

デザインのしっかりしているWEBサイトとは?

かっこいい、きれい、かわいい、スタイリッシュ、、、

「デザインにこだわる」というと見た目部分だけに目が行きがち。
しかし、KREEDでは必ずその一歩手前の部分を最も大切にします。

注意すべきなのは「かっこいいホームページ」を作ること自体を”目的”としてしまわないこと。
その商品やサービスの伝えるべきコンセプトを余すところなく表現すること。
その表現を引き立てる手段の一つとして「かっこいい」という形容詞を目標とします。

当たり前のことではあるのですが、実はこれが難しくまた大切なポイント。
この順序を逆に、つまりかっこいいデザインの中に商品を置いてしまうことは非常に危険です。
形容詞ありきで、先にデザインから入ってしまった途端、その商品専用の舞台(WEBページ)ではなくなってしまいます。
他の商品の写真をそこに置いても違和感がない=その商品の世界観を表現しきれていない。となります。

奇抜なデザインには、インパクトがあるかもしれません。
しかし正しいプロセスを踏まず、「それだけ」になってしまったWEBページはコモディティ化の波に飲まれてしまいます。
例えば他のもっと奇抜なデザインが出てきたときに、商品自体の世界観で勝負をしていないため差別化ができないからです。
それでは永続的な集客・ブランディングは難しいものとなります。

観た人の記憶の中に、本当に残したいものは何なのか。

 
インターフェイスは表現・動線の手段であり、それ自体が目的になってはいけない。
作り手として、私たちが開業時から貫いている信念でもあります。

その上で最高にかっこいいものを作り続けています。
 
KREED.
 

「宣伝より体験を」Burberry編②

 
Burberry Acoustic」をご存知でしょうか?

バーバリーが2010年に立ち上げたYoutubeチャンネルです。

CEOのクリストファー・ベイリーによるハイセンスな選曲で、
国内(イギリス)の若手アーティストを紹介してきました。

ここが通常のブランドチャンネルと大きく異なる点であり、
バーバリーのデジタル戦略の成功要因でもあると言われています。

自社ブランドのショーなどで使われる音楽を紹介するのでもなく、
新作コレクションの映像配信を行うことだけを目的としているわけでもありません。
バーバリーのCMが流れたりECに誘導されることもありません。

自国の若手アーティストの支援をすると同時に、
純粋に音楽を愛する人たちのコミュニティに自らが寄り添うことで、
ユーザーとの対等な関係性を築き続けています。

“まずはアコースティック好きの人が楽しんでくれればそれでいいんです。
もしかしたらミュージシャンが巻いているマフラーを気に入ってくれるかもしれないし、
そのアーティストがアルバムを出したら買ってくれるかもしれない。
でもそれは結果であって目的ではありません。
バーバリーを知ってもらうのはその先です。”
(クリストファー・ベイリー)

ここから見えてくるのは
バーバリーにとっての「体験価値」=「コミュニケーション」だということ。

イギリス的な音楽が好きな人なら
バーバリーの世界観も気に入ってくれる可能性が高い。
だからまずは自社商品は横に置いてコミュニティとの接点を持つために存在するのが
音楽チャンネル「Burberry Acoustic」

これがもし、全部の動画のあとにECへの動線があったり、
背景動画がランウェイのコレクションばかりだったら、
フォロワーはどこかで白けてしまい潜在顧客へのリーチは減少していたはず。

バーバリーの商品を買ってくれた先に素敵な体験を用意するのではなく、
素敵な体験の中でバーバリーの世界観を感じ取ってもらう。

デジタルでは決してそれが逆ではいけない。

そべての成功事例がそう物語っているように思えます。

…………….

「宣伝より体験を」Burberry編③ は5/21公開予定
KREED BLOGではデジタル展開の成功事例を随時ご紹介していきます。
 
KREED.

 

「宣伝より体験を」Burberry編①

 
体験価値という概念をメジャーなものにしたのはB・J・パイン著の「経験経済」だと言われています。

その書籍によると、

“顧客の価値観に合わせ企業が商品やサービスを多様化するだけでは不十分であり、
顧客の記憶に残る感動を与え、それを唯一の体験だと感じてもらわなければコモディティ化の波にやられてしまう。”

商品自体ばかりに力を入れているだけでは差別化が難しくなるということ。

しかしこの本の邦訳が刊行されたのは2000年。
まだSNSが普及していなかった当時「体験」を提供するのは簡単なことではありませんでした。

ファッションショーを開くにしても、音楽イベントを開くにしても、たとえそれがどんなに魅力的なものであれすべての顧客に現場に来てもらう必要があったからです。

しかし今状況は全く変わっています。
ファッションショーも音楽イベントもオンラインに解放されていることが少なくありません。
それも360度の視野でリアルタイムに配信されています。

顧客に出向いてもらうことなく、世界中の人に簡単に「体験価値」を提供できるようになりました。

この体験価値導入の最も大きな成功事例の一つでもあるバーバリー。
CEOのクリストファー・ベイリーはある取材でこのように表現しています。

“今後ラグジュアリーブランドは「体験」に最大の価値を置いていくことになります。
これは大きな転換です。

私たちは世界中に顧客やファンのコミュニティを持っています。
以前は私たちを接点を持ちたがっている人が世界中にいるにもかかわらず、それらのコミュニティを一元化することができなかった。
ところがデジタルの出現によりそれらを統合し、バーバリーのビジョンをより明確に打ち出すことができるようになったのです”

次回の記事では、このバーバリーの体験価値創造の発端とも言える音楽プログラム
「Burberry Acoustic」についてご紹介させていただきます。
 
次の記事「Burberryに学ぶ「宣伝より体験を②」
 
KREED.